いけないことをするヒト

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    今、小型ジェットビジネス機市場でセスナを抑えて販売トップに立っている国産ジェットビジネス機、ホンダジェット。

    この度、初めて石垣空港にもやってきました。

    この機体、良く見るといけないことをしている。

    設計室では主翼の上面に大きなものを装備するのはご法度だ。ましてやエンジンなんてもってのほか。

    装備品が干渉して主翼に発生させる大事な揚力を阻害し、良好な性能は望めない。まともな飛行機屋なら、やらない愚行とされてきた。

     

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    そんなやってはいけないことをやってしまったヒトがこのお方。

    ホンダエアクラフトカンパニー社長兼CEOの藤野 道格(ふじの みちまさ)さんだ。

    初めてこの奇抜な設計を見た米国の航空技術者は言ったね。「まあ経験の乏しい日本、しかもクルマ屋だからね、航空の常識すら知らないんだろう」と。

    だが、風洞試験や技術情報を確認した彼らの顔色は変わって行った。

     

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    彼は経営母体こそクルマ屋に属していたが、紛れもない飛行機屋だった。

    ホンダというとバイクのスーパーカブや、クルマのF-1のイメージが強いが、実は航空機の研究開発での歴史はながく創業者の宗一郎からの夢でもあったのだ。

    だから、この掟破りなユニークな設計は百も承知の確信犯であった。彼のレポートから、その根拠の一旦として拝借してきたグラフを下に示そう。

     

     

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    飛行速度が音速近くになったときに急増する抵抗の様子をX軸にマッハ数をとりプロットしたものだが、エンジンのない状態、通常のリアエンジン設置、翼上へのエンジン設置の3つの場合を比べると、なんと翼上設置がもっとも抵抗が立ち上がるポイントが高速側にある(同じ推力ならばもっともホンダジェットが高速で飛べる)ことが示されてる。ホンマかいな。

     

     

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    一方で機体の重量を支える揚力について、主翼の迎え角と揚力係数をプロットしたのが上のグラフ。

    これから言えるのはゼロ揚力角は少し大きくなるが最大揚力自体はエンジンを取っ払った場合よりも、翼上にエンジンがあった方が大きな揚力係数を得られるということ。ホンマかいな。

     

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    やってはいけないと先輩の意見に素直に従っていたら、こんな予想外の結果を知ることも、圧倒的なシェアをもつセスナの販売数を超える国産機、ホンダジェットが生まれることはなかった違いない。そして生まれなければ次の商売もない。

    常識を破らないと技術革新もなければ生き残れない飛行機開発の世界では、常識や先人の教えを鵜呑みにする人間だけでは成り立たないという視点は、今後の子どもたちの教育問題としても重要な部分なんだろう。

     

     

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    そんななか、こちらは空飛ぶシビックではなく、空飛ぶ船の開発現場のお話。

    ホンダ同様、国内で飛行艇の開発というヒトのやらないことをやって生き残っている新明和さんのUS-2開発物語の「2」がこのほど発売になりました。

    既に「1」から超オタク本に仕上がってますが「2」は更に気合い入ってますね。コミック本でこれを普通に読むヒトって一体どんなヒトなの?誰ぞのカレンダーみたいに販売数の中で元はとれるのかと心配したりもしますが、出してくれたことに素直に感謝したいボクなのでした。

     

     

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    ちょっと内容を紹介すると・・・

    飛行艇の断面は旅客機みたいに円形断面ではなく下の部分は船の艇体のカタチをしている。

    これを高々度でも運用できる与圧胴体にするに当たっての開発苦労話などが実にリアルに書かれていて、興味深い。

    こんな使い方をする飛行艇は世界にもないから、独自の仕様つくりからはじめ試験方法にも反映された。独自性のあるものの開発は先人たちの資料をあさったり、ググる能力に長けているだけでは駄目なのだ。

     

     

    かくして

    常識を鵜呑みにしないヒト、従来の方法に疑問をもち確かめてみるヒト、もしかしたらこうでもいいんじゃないかと他人と違うことをやってみるヒトが必要だし、偉い人の言うことを素直にきかないからとか、周囲の人と同じことができないからという理由だけで排除してしまうと、みんなにも役立つ将来価値をみすみす失うことになるかも知れない。

    発達障害と言われる子どもたちの中にも、きっとそんな子たちはいるのだ。教育の現場においてもその芽を見つけ大事に育ててゆかないとクルマ、家電のように国家の屋台骨となる明日の製造業は今後、きわめて厳しい状況に陥るのではないかとボクは思う。

    病的だってオタクだって時代が変わるとメジャーになる可能性がある、変わってるヒトがいたら、時代の先駆けだと思って投資してみてもいいんじゃないのかな。

     

     

     

     


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